2014年7月20日日曜日

コンポジット・アポダイゼーション


 アポダイゼーション、露光間絞りとも言われる光学的フィルタ効果は、周辺部に向かって透過率を落とすことで映像用カメラにおいてはボケ質の改善を行うために用いられる。実際にアポダイゼーション光学エレメントを組み込むことで独特のボケ質を実現したレンズがソニー/ミノルタ Aマウントの135mm STF(Smooth Transfer Focus) F2.8/T4.5。設計上AFが使えないMFレンズで、STFに魅せられて自作のアポダイゼーション光学エレメントを用いてAF可能なSTFを作ろうとする人たちがいるほど。確かにSTFの癖がなくトロけるようなボケと、ピント面の目が覚めるようなシャープさは、MF専用という不便さを乗り越えて使いたくなる魅力を秘めている。ただし、レンズ描写については元のレンズの質も大きく関わってくることは言うまでもない。
 また露光間絞りと言うように、露光中に絞りを変化させることでアポダイゼーションエレメントと同様の効果を得ることができる。このことを利用したのがミノルタα-7のSTFモードや、パナソニックDMC-G5、DMC-LX7の露光間絞りモードだ。

 ここで露光中に絞りを変えて一枚の写真として写すということは、絞りを少しずつ変えた写真を多重露光、ないし合成(コンポジット)していると考えることができる。そこで本体で多重露光ができるデジタルカメラを使って、画像合成によるアポダイゼーションを実現してみることにしよう。なお、本体内で済ませるのは手間を省きたかっただけである。使用機材はDMC-GX7とDG45mm MACRO、被写体には三台のミニカーを用いた。ピントはシルバーのミニカーのヘッドライト、緑のミニカーが前ボケ、赤いミニカーが後ボケだ。


▲一枚撮影(F2.8)


▲一枚撮影(F3.2)


▲一枚撮影(F3.5)


▲一枚撮影(F4)


▲合成アポダイゼーション(F2.8、3.2、3.5、4の四枚)


 全画面表示にして見ていただくともう少しわかり易いと思うが、合成した写真はアウトフォーカス部のざわつきが抑えられ、ボケのコントラストが落ちて柔らかくなっているように感じられる。前ボケはホイールの点光源部分、後ボケは赤いボディと背景の境界部分が比較的わかり易いと思うが、いかがだろうか。被写界深度はF3.5と4の間くらいと見る。

 今回の画像合成によるアポダイゼーションは静物、かつ三脚使用が前提となってしまうため使いどころが難しいが、物撮りなどで使える可能性も。手持ちのレンズがSTFに、とは言わないまでも、静物でボケが煩く感じるときに効果を発揮することがある・・・かもしれない。


▼関連リンク

0 件のコメント:

コメントを投稿