2014年8月19日火曜日

背面モードダイヤル


 まだ噂の段階だが、リコーイメージングの新型一眼レフと思われるPENTAX  K-S1の画像がリークされている。話のタネになりそうな部分は多々あるカメラであるが、比較的好意を持たれているポイントに十字キー周りのモードダイヤルがある。確かにこのUIはよく考えてられていると思う。ではそれは何故か。


 さて現在手元のカメラから市場にあるカメラまで見渡してみても、一眼レフ型のカメラでモードダイヤルが軍艦部以外にあるカメラはまずお目にかかれない。撮影者から見て右か左かという差異はあるにしてもである。何故かと言えば、本来カメラにおける設計はは設定パラメータを上から眺めて確認できることが基本であるからだ。例外はあるにせよ、少なくとも35mm判カメラのUIは"そこ"にたどり着いた。機械式カメラでは距離指標、絞りリングでの設定値、シャッタースピード...これらはすべてカメラを俯瞰することで確認できる。時代は電子制御のカメラへと移り変わり、モノクロ液晶と電子コマンドダイヤルが基本のUIとなっても、情報表示をする液晶が軍艦部に収まった。ファインダーを覗く姿勢からカメラを下げるだけでよい、背面はフィルムの交換の時くらいしか見る必要はない。


 情報は上部、この基本を揺るがし始めたのが背面モニタ付きデジタルカメラである。コンパクトなカメラでも一眼レフのように撮影用レンズからの像を見ながら撮影できる、撮影した写真をモニタで見られる。そして当然背面モニタは情報表示の窓としても使われることになるここにきて構えた状態から撮影用レンズを下方に向けて背面を見るスタイルが定着してゆく。


 一方でデジタルにおける一眼レフはしばらくの間、発熱の問題もありライブビュー撮影とは遠い所にいたのである。一眼レフはそもそも撮影用レンズの像をミラーで跳ね上げ、プリズムで上下反転させたものを指標として撮影するカメラなのだからスタートから遠いところに立っているのは致し方ないことなのであるが。そんなわけでデジタル一眼レフとは銀塩の電子制御カメラの感材をイメージセンサに置き換えたモノであった。そのため背面モニタでデジタルカメラとしての機能・情報の表示を行い、カメラとしての基礎情報は軍幹部のモノクロ液晶が担う方式がスタンダードとなった。露出モードダイヤルも銀塩カメラから引き継ぎ、上部に収まっている。

 しかし齟齬が起き始める。背面モニタは徐々に大型化し、上部の小さなモノクロ液晶とは比較にならないほどの情報を表示できるようになった。デジタルの機能を享受するためには背面モニタが完全なメインにならざるおえず、さらにコストの問題もあり低価格なカメラにモノクロ液晶が搭載されることはなくなった。つまりファインダーを覗いていない時のほとんどはカメラ背面を見るようになったのである。だが依然としてモードダイヤルは軍幹部に鎮座し、その状態を全て把握するためには銀塩カメラと同じように見る必要がある。そのため背面から視線を移すためにカメラを90度回転させる必要性が出てきてしまう。この点はミラーレスカメラは露出モードダイヤルをソフトウェアダイヤルする例もあるが、マニュアル・セミオートからフルオートへの切り替えなどの即時性を考慮すればハードウェアダイヤルのメリットも確かにある。

 ここでK-S1の話となる。繰り返すが、ファインダーで撮影するにせよ背面モニタで撮影するにせよ、デジタルカメラにおいて撮影中に軍幹部を見ることはほとんどない。電源レバーも電子コマンドダイヤルも指先で把握することは容易であり、設定パラメータもファインダー内か背面モニタで確認可能である。カメラの背面を見るのだから、情報の視認性を考えるとモードダイヤルが背面に備わっていることには一理あると言えるだろう。カメラをわざわざ回転させなくても一目で状態が確認できるということだ。そういえばデジタルカメラの背面はボタンやらレバーやらジョイスティックやら突起物だらけである。そういったことを考えるとデジタルカメラにおける軍幹部とは上部ではなく背面と言えるのかもしれない。

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